ガンダムシリーズ不動の人気を誇るシャア・アズナブル
彼はどんな人物だったのか?
劇中での謎や名言・名シーンを紹介します。
シャア・アズナブルとは
弱冠20歳にして数々の軍功を挙げ、その活躍から「赤い彗星」の異名で敵味方を問わず知られるジオン軍のエースパイロット。
常にマスクを着用し、たとえ上官の前でも外す事はない。
三つ目の名前
まずはじめにシャア・アズナブルという名前は偽名である。それも人生で3番目の名前だ。
二番目はエドワウ・マス
そして最初の名前をキャスバル・レム・ダイクンといった。
即ちシャア・アズナブルは、ジオン共和国の祖にして、「ニュータイプ」の提唱者ジオン・ズム・ダイクンの長男である。
本来であればジオンの次代を担うはずであったキャスバルだが、ザビ家によって父ダイクンが暗殺される。
腹心であったジンバ・ラルは、ザビ家からダイクンの遺児を守るため、共に地球へ逃げた。
そこで身を隠すために与えられた名前がエドワウ・マスであった。
妹のアルテイシアは、第二の名前であるセイラ・マスの名を己のものとしたが、エドワウ・マスはシャア・アズナブルという第三の名前となり、ジオン軍士官学校へと進む。
ここでシャアは、デキン・ソド・ザビの末の息子、ガルマ・ザビと親交を深め無二の親友となるが、それは全てザビ家に接近するためである。
シャアは軍功を挙げ、ザビ家から信頼を得る事で彼等に近付こうと考えた。ザビ家に復讐するために得た名前こそがシャア・アズナブルなのである。
赤い彗星の誕生
宇宙世紀0079 ジオン公国は地球連邦軍に対し独立を宣言。
後に一年戦争と呼ばれる苛烈な戦争が始まった。
その戦争初期に行われた戦い「ルウム戦役」にシャアは参加。
モビルスーツの脅威を知らしめたこの戦いでシャアは、赤く塗装したザクに搭乗し、通常の3倍という信じられない速度で戦場を駆け巡り戦艦5隻を落とした。
ルウム戦役でのこの伝説的な功績によりシャアは「赤い彗星」の異名で呼ばれる事になる。
その後シャアは、ドズル・ザビの乗艦であった軽巡洋艦ファルメルを専用艦として与えられ前線指揮官となっている。
指揮官となったシャアはこの時点で「先読みのシャア」とも呼ばれおり、既にニュータイプである事を示唆している。
永遠のライバル「アムロ・レイ」
そんなシャアにも好敵手が現れる。
それがガンダムのパイロット アムロ・レイである。
序盤こそ機体性能に助けられていたアムロはシャアの敵ではなく、遥かに性能が劣る専用のザクⅡでガンダムを圧倒。アムロというよりガンダムがライバルだった。
しかしニュータイプ能力が高まっていくにつれ、パイロットとしても急成長したアムロには、ガンダムより高性能なゲルググを駆っていたにも係わらず、自身の技量によってシャアは敗北寸前まで追い詰められる。
だがそれを救ったのがニュータイプの少女ララァ・スンであった。
捨て身でシャアの盾となったララァはその命を散らしてしまう。
シャアにとってララァは自らが見出した天才的ニュータイプであり、同時に恋人でもあった。
そしてニュータイプ能力で自分がララァに及ばない事を自覚していたシャアは、ララァに対し素直な面を見せていた。
しかし、高いニュータイプ能力を持つアムロとララァは急速に接近し、それが優れたニュータイプ同士の共鳴であった事にシャアは憤りと怒りを禁じ得なかった。
なぜならシャアは、二人の共鳴がニュータイプである自分ですら入り込む余地のないレベルの通じ合いだったからである。
そしてこの一件が、シャアとアムロの長きに渡る因縁のはじまりとなった。
ザビ家への復讐
以前シャアはララァをその境遇から救い出し、ニュータイプ研究所「フラナガン機関」に預けていた。
それまで半信半疑であったニュータイプという人の革新、父の唱えた説をシャアが受け入れた瞬間でもあった。
これによって父の思想が間違っていなかった事をシャアは知り、来るべき世界を築くためにもスペースノイドの独立は、実現されなければと考えるようになる。
それとザビ家の独裁は別問題であったが、末弟にして国のアイドル的存在であったガルマを殺害してなお、勢い止まぬザビ家を一旦はスペースノイド独立のため利用する事にしたシャアは、キシリア・ザビの部下となり連邦打倒のため戦う。
しかしそれも、ザビ家が連邦軍を倒す事が出来ればの話であり、ドズル・ザビが護るソロモンが落とされ、ギレンが父デキンを殺し、またそのギレンの命をキシリアが狙うという骨肉の争いを間近で見てきたシャアは「ザビ家の人間はやはり許せぬとわかった」と結局ザビ家を見限る。
兵を見捨て、ひとりア・バオア・クーから逃げようとするキシリアをシャアは狙い撃つ。
直後、連邦軍の砲撃を受けたザンジバルは撃沈し、その爆炎の中にシャアは消えていった。
シャア・アズナブルのその後
一年戦争でザビ家への復讐を果たしたシャア。
その後、「機動戦士Zガンダム」ではクワトロ・バジーナと名を変えエゥーゴに参加し「逆襲のシャア」では、ネオ・ジオン軍総帥として再びシャア・アズナブルの名で表舞台に立つ事になる。
シャアの名前の由来
一度聞いたら忘れない独特の名前を持つガンダムのキャラクター達。
その中でもシャア・アズナブルという名前は、キャラクターの魅力も合わさりインパクトのある名前だ。
このシャアの名前の由来には諸説あり、まず一つは富野監督をはじめ、多くのガンダムスタッフが関わった「勇者ライディーン」に登場する敵役プリンス・シャーキンに由来しているという説。
このシャーキンというキャラクターも仮面を被っているため、名前から「キン」を取って「シャー」にしたいという。
そして2つ目はファミリーネームである「アズナブル」。これはフランス出身のシンガーソングライター「シャルル・アズナーブル」をもじったものだと言う。
様々な憶測を呼んでいるシャアという名前の由来だが、当の富野監督はそれについて「シャーって来るからシャア」と語っている。
シャア専用機が赤い理由
シャアと言えば赤く塗られたパーソナルカラーの「シャア専用」モビルスーツ。
劇中ではザクに始まりゲルググまで、シャアが乗るモビルスーツは決まって赤い。あのグラブロも、本来シャアが乗る予定だったという。
しかし戦場で目立つ赤色をなぜパーソナルカラーにしたのか?
これは実際のところハッキリした事は分かっていないが、一説には当時ガンダムを製作していたアニメスタジオで、セル画用の赤い塗料が大量に余っていたからなんて噂がある。
また、ゲーム「ギレンの野望」では士官学校を首席卒業したシャアを妬んだ機材担当が、本塗りをしていない下地塗装の機体をあてがった。
金属に使う下地塗装というと、錆止めの為の赤みがかった色が一般的で、これが起源となった説もある。
理由はどうあれ、戦場で目立つこの赤いパーソナルカラーは、シャアがザビ家に近付くため活躍をアピールしたかったと考えると非常に理に適ってる気がする。
シャアはニュータイプなのか?
シャアがニュータイプなのかオールドタイプなのかについて、ファンの間では長年論争が行われてきた。
シャアはそもそも「先読みのシャア」として名を馳せた指揮官である。
シャアが若くして昇進できた理由にも、その高い洞察力と状況認識能力があり、これはニュータイプ能力の一端と考えていいだろう。
ジオングやサザビーに搭載されていたサイコミュを操って見せたのも、ニュータイプだからこそできるもの。
しかしニュータイプにもその能力に程度があり、ララァやアムロには敵わない事をシャア自身強く認識していた。
だからこそシャアはア・バオア・クー戦でアムロに肉弾戦を挑んでいる。
ニュータイプ能力には、洞察力、状況認識能力以外にも物事のあるべき姿を見抜く力が備わっているという。
しかし復讐という目的のために生き、ララァへの執着を最後まで捨てきれなかった事が、シャアのニュータイプの力を阻害したとも言われている。
シャアはニュータイプとしての素養を持つ人物である事には間違いないが、その力の使い方があまりに自分本位であったために覚醒出来なかったのかも知れない。
シャアの名言・名場面
認めたくないものだな。自分自身の若さゆえの過ちというものを
第1話「ガンダム大地に立つ‼︎」より。
連邦軍のV作戦をキャッチしたシャアは3機のザクを偵察に向かわせる。しかしそれによって戦闘が起きてしまい、部下とザクを失ってしまう。そこでシャアが呟いたこのセリフ。「過ち」とは作戦ミスを犯してしまった事はもちろんだが、ポーカーフェイスのその下で功を焦った自分がいたのだろうか?
モビルスーツの性能の違いが、戦力の決定的差でないということを教えてやる!
第3話「敵の補給艦を叩け!」より。
これまで敵なしであったシャアの前に現れた初めての強敵 ガンダム。
素人同然の動きで部下を次々と葬るガンダムに向けたその言葉には、エースパイロットの矜持が感じられる。
坊やだからさ
ガルマの戦死の責を問われて左還させられたシャアは場末のバーでガルマの国葬中継を見ながら、ひとりグラスを傾ける。「ガルマ・ザビは死んだ!なぜだ!?」というテレビの向こうのギレンに対し、「坊やだからさ」とニヒルに一言。20歳とは思えない渋さだ
私の同志になれ
第43話「脱出」より。
モビルスーツを失い一騎打ちを交わすシャアとアムロ。「ジオン亡き後はニュータイプの時代だ」とするシャアは、もはやザビ家打倒にこだわっていない。「アムロ君が、この私の言うことがわかるのなら…私の同志になれ。ララァも喜ぶ」とアムロを誘う。
ガルマ、私の手向けだ。姉上と仲良く暮らすがいい。
第43話「脱出」より。
アムロとの肉弾戦の末、最後の復讐へ向かうシャア。兵を捨て逃げる準備を進めるキシリアの元に現れたシャアは、艦橋のキシリアに最後の敬礼をした後、ガルマへの手向けとしてその姉を狙い撃つ。それはただの皮肉なのか、それとも数少ない友人を殺めた事に後悔があったのか。