ララァ・スンとは
◼︎所属
ジオン公国軍 フラナガン機関
◼︎階級
少尉
◼︎職種
パイロット
◼︎搭乗機
エルメス
◼︎年齢
17歳
シャアにその能力を見出され、一年戦争後期にニュータイプを研究する目的で設立された「フラナガン機関」で育成された少女。
高いニュータイプ能力を持ち、専用モビルアーマー「エルメス」を駆り「ソロモンの亡霊」と恐れられた。
天才的ニュータイプ
素顔のララァ・スンはおよそ「ソロモンの亡霊」とはかけ離れている。
物事を知識ではなく直感で見抜き、思ったことを素直に口にする天真爛漫な少女であった。
しかしその直感の良さも、日常生活では「勘の良い少女」くらいに思われていたのだろう。
そんな少女の運命を変えたのがシャア・アズナブルとの出会いであった。
戦災で肉親を失ったララァは当時、地を這う様な生活を余儀なくされていた。
シャアはそんなララァに高いニュータイプ能力がある事を確信し、ニュータイプ研究所「フラナガン機関」に預け入れたのである。
※シャアとララァの出会いについては、ガルマ戦死の責により、左還されたシャアとインドで出会ったとされているが、小説「密会〜アムロとララァ」では売春宿で、漫画ジオリジンではカジノ荒らしその能力を悪用されている際に出会っている。
ジオンがニュータイプの分野で先行していたのは、キシリア・ザビ配下のフラナガン機関があったからこそである。
ここでの研究により、ニュータイプ専用機などを開発出来た事に違いはないが、この研究をスムーズに行う事が出来たのはララァ・スンという高い能力を持つニュータイプを得る事が出来たからである。
これにより、それまで机上の空論であった「ニュータイプ」という存在が、確かに実在する事が明らかになったのだ。
ソロモンの亡霊
一年戦争末期、ララァは少尉に任官され フラナガン機関から正式にシャアの部隊に配属となる。
そこでララァは専用モビルアーマー「エルメス」のパイロットになった。
このエルメスには、パイロットの脳波により兵器を操る「サイコミュ」というシステムが搭載されていた。
同時に複数のビーム兵器「ビット」を操り、ミノフスキー粒子の影響で電波障害が起こる宇宙世紀の戦場で、長距離精密攻撃を可能にしたのである。
しかしその技術も高いニュータイプ能力を持つパイロット。
即ちララァがいてこそ真価を発揮するものであった。
ララァはこのエルメスを駆り、戦闘経験がほぼ皆無ながらジオン軍内で一目置かれる存在となっていく。
その戦闘能力は凄まじく、シャアの部下であるバタシャムは「軍法会議も覚悟しております。が、エルメスの出るとき後衛にまわる事だけは認めて下さい」とシャアに願い出ている。
要は一般兵にとってエルメス(というかニュータイプ)の力は、命懸けで前線で戦うことがバカバカしくなる程のものなのだ。
宇宙要塞「ソロモン」宙域での戦闘の際、ララァがビットを操ると電子機器にノイズが走った。
そのノイズは、ニュータイプの素養がある人間には殺意を感じさせるものであった。
この事象によりララァは「ソロモンの亡霊」と呼ばれる事になるが、生前彼女がそれを知る事はなかった。
ララァ・スンの最期
劇中でのララァとシャアの間柄は、単なる部下と上司の関係でない事は明白だ。
シャアもララァを愛し、またララァもシャアの事を愛していたが、その根底には自分をその境遇から救い出してくれた感謝の気持ちがあった事は確かだろう。
しかし、ガンダムのパイロットであるアムロ・レイと出会った時、二人は急速に接近する。
それは高いニュータイプ能力を持ったもの同士にしかなし得ない、深い共鳴によるものであった。
そこには打算もなければ損得勘定も存在しない。
ただただ互いを理解し、受け入れるという、極めて純粋な繋がりが生まれたのだ。
平和な世であれば2人は幸せな恋人同士になれたかもしれない。
しかし、戦争がなければこれ程ニュータイプとして覚醒する事もなかったであろう。
皮肉な事に戦争の結果、2人は優れたニュータイプとなり惹かれあったのだ。
そして戦争で大事な人を守るには戦うしか道はない。
ララァは自らの言葉通り、愛するシャアを守る為、分かり合えたはずのアムロの攻撃を受け宇宙に散った。
だが、この出会いがニュータイプとして更なる進化を呼んだのか、ララァの意識は宇宙を漂い、ア・バオア・クーの戦いではアムロの力を導いて、ホワイトベースのクルー達を死の淵から救い出した。
そしてその後も、アムロとシャアの未来に濃い影を落とす事になる。
ララァ・スンの名セリフ・名シーン
綺麗な目をしているのね
第34話「宿命の出会い」より。
サイド6で雨に降られたアムロは雨宿りに訪れた先で、白鳥が湖畔で死ぬのを見かける。そこに「かわいそうに…」と呟くのがララァであった。二人の会話は噛み合わないが、ララァはアムロの顔を覗き込み「綺麗な目をしているのね」と言い残す。意味深なシチュエーションで出会いを果たした2人であった。
白いモビルスーツが勝つわ
第34話「宿命の出会い」より。
コンスコン隊とホワイトベースの戦いをテレビで眺めるシャアとララァ。「白いモビルスーツが勝つわ」と言うララァだが、その画面にガンダムは映っていなかった。ララァは既にシャアも観測できない世界を見ていたのだ。
シャアをいじめる悪い人だ!
第40話「エルメスのララァ」より。
マグネットコーティングによって強化されたガンダムがシャアのゲルググを追い詰める。激闘の最中、アムロの脳内にララァの言葉が流れ込んできた。「悪い人だ!シャアをいじめる悪い人だ!」ララァの純粋な心がアムロを苦しめるのだった。
あなたの来るのが遅すぎたのよ
第41話「光る宇宙」より。
ガンダムとエルメスの戦いの中、遂にララァとアムロは意識の中で出会った。ララァは倒さなければならないアムロに対し「あなたの来るのが遅すぎたのよ」「なぜ今になって現れたの?」と、本心ではアムロに傾いているかの様な、未練がましい事を言う。
ああ…アムロ…時が見える
第41話「光る宇宙」より。
共鳴しあうアムロとララァの間にシャアが割って入る。しかし戦いはガンダムが優勢に進め、遂に宿敵シャアを追い詰める。「シャア!覚悟!」ビームサーベルの光がシャアに迫るが、射抜いたのはエルメスのコクピットであった。「人はいつか、時間さえ支配できるさ」と正に今巻き戻したい現状を嘆くアムロに、「時が見える」と言い残してララァは散った。