ニヒルなヒーロー カイ・シデン
ガンダムの中でカイが一番好きなんてファンも多いのではないでしょうか?
今回はカイ・シデンの活躍や名言などを紹介します。
カイ・シデンとは
◼︎所属
地球連邦軍 第13独立部隊
◼︎階級
伍長(劇場版:少尉)
◼︎職種
パイロット
◼︎搭乗機
ガンキャノン
◼︎年齢
17歳
ホワイトベースのクルーとなったサイド7のプエルトリコ系住民。
規律や自己犠牲には胡散臭さしか感じず、嫌味が多い皮肉屋だが裏を返せば現実主義者で頭の回転も早い。ホワイトベースでは主にガンキャノンのパイロットとして活躍した。
現実主義者の皮肉屋
いわゆる不良少年であったカイ・シデンだが、登場してすぐに「軟弱者!」とセイラから平手打ちをくらってしまう。
セイラに罵られたその一件を覚えていたカイはその後「オレは軟弱者だ」と自ら開き直っていた。自身が言う通り、仕方なくとはいえ比較的進んで戦おうとするアムロやハヤトとは違い、戦いに対するカイの姿勢はかなり逃避的だった。
特に物語の序盤では、ホワイトベースの銃座を買って出る事はあっても、自らモビルスーツで出撃しようという意思は見せていない。
それどころか民間人の身で戦おうとするアムロやハヤトを皮肉る場面もあり、ついにはブライトに殴られる一幕もあった。
しかし、よく考えてみるとカイはただの民間人であり、ホワイトベースに乗り込んだのは戦火を逃れる為だ。天性のセンスではじめからガンダムを操縦できたアムロや、自らパイロットを買って出たハヤトとは違い、カイは大型特殊車両の免許を持っていたため、消去法の様にパイロットに選ばれただけである。
そんなカイに戦えという方が無理であり、むしろ仕方がないとは言え戦火に飛び込んで行くクルー達の方が稀である。
しかしそんな状況でもカイは、文句や皮肉を垂れながらもやる事はやるし、ストレスを溜め込んで感情を爆発させてしまう他のクルーに比べて、自分をコントロールする事に長けていた。カイの皮肉や軽口は、己が壊れずにいるための一つのやり方だったのかも知れない
戦う意義を見つけたカイ
物語の中盤、ベルファストに寄港した際、カイはついにホワイトベースを降りる決意をする。このままホワイトベースに留まれば、正式に軍属となってしまうというのがその理由だが、同じ民間人であったクルー達が当然の様に戦うつもりでいる様子に、自分の居場所はここでは無いと感じたのだろう。
数々の戦火を潜り抜け、結束を強めてきたクルー達は、戦うことにすっかり慣れてしまっていた。その中にあってカイだけは、元々の自分の立ち位置を見失ってなかったのだ。
しかしホワイトベースを降りたその先で、カイは戦う理由を見つけることになる。
ミハル・ラトキエとの出会い
ホワイトベースを降りた際、カイはジオン軍のスパイである少女、ミハルと出会う。
行く当てがなかったカイは、彼から情報を引き出そうとしたミハルの家に泊めてもらう事になるのだが、そこでミハルが幼い兄弟達を養うためにスパイとなっている事を知る。
改めて戦争と言うものの実態を目の当たりにしたカイは、同情からホワイトベースの情報を流すのだった。
その後、ジオン軍の襲撃を受けるホワイトベースを目にしてしまったカイは、結局いてもたってもいられずホワイトベースを助けるため自らガンタンクで出撃する。
そんなこんなでホワイトベースに戻ってしまったカイだが、ジオン軍から潜入を命じられたミハルも艦内に乗り込んでいた。
ミハルを見つけたカイは、彼女を自室にかくまうが、彼女がホワイトベースの情報を流した為に襲撃を受けてしまう。自責の念に駆られたミハルはカイと共に出撃するが、そこで命を散らす事となってしまった。
心が通じかけたミハルの死はカイに深い悲しみを与えたが、同時に彼女の様な境遇の子を出さぬために「ジオンを徹底的に叩く」という決意を固めた。
戦う事に消極的であったカイだが、これ以降積極的に戦いに参加する様になり、他のパイロット達に対してもリーダーシップを発揮するほどに成長する。
もはやそこには、かつての軟弱者は存在しなかった。
カイ・シデンのその後
1年戦争終結後、カイは軍を抜けフリーのジャーナリストになっている。
「機動戦士Zガンダム」では、独自の情報網を駆使し、ブライトらかつての仲間を影から支え、ガンダムUCでもブライトから「とびきりジオン嫌い」のネゴシエーターとして、ネオ・ジオンのジンネマンと共同戦線の交渉役を任されている。
余談だが、カイのアフターストーリーを描くデイアフタートゥモローシリーズはカイが好きなファンに是非読んで欲しい作品です。
カイ・シデンの名言・名場面
よろしくもよろしくないもないんだろ
第3話「敵の補給艦を叩け!」より。
パイロットとして駆り出されたカイの初出撃。オペレーターであるセイラの「発進、よろし?」に対してカイは「よろしくもよろしくないもないんだろ、いつでもいいよ」と皮肉たっぷりに覚悟を決める。「余計なことは言わないで」とセイラに注意されてしまうが、いつも一言多いのがカイらしい。
電気屋でも開くか。え、アムロ?
第27話「女スパイ潜入!」より。
とうとう嫌気がさしたカイはサラリとホワイトベースから降りてしまう。アムロは「売れば、いくらかになります」とカイに愛用の工具箱を手渡した。行く当てもないカイはベルファストの町を歩きながらアムロの工具箱を見て「電気屋でも開くか。え、アムロ?」とポツリ。カイの孤独感が浮き出た味わい深いシーン。
ミハル…いなくなっちまって
第28話「大西洋、血に染めて」より。
「自分の弟妹同様、ホワイトベースの子供たちも死んでいいわけない」そう言って敵の撃退に協力するミハルだったが、爆風で吹き飛ばされ、大西洋の藻屑と消える。この時点でミハルの死に気付いていないカイは、ホワイトベースに戻りミハルが死んだ事に気付く。しかしクルーの誰一人、ミハルという人間を知らないのだ。身を丸めて泣き崩れる皮肉屋の背中が切ない。
逆立ちしたって人間は神様にはなれないからな
第42話「宇宙要塞ア・バオア・クー」より。
最終決戦の直前、クルー達に「(ニュータイプの勘で)作戦は成功すると述べたアムロ。それが気休めの嘘であったと聞いたカイのこの一言には、皮肉と現実認識が如実に表れている。さっきまで子供達と笑いあっていたカイだが、子供たちが居なくなってからこの話題を振るのがまたいい。