ジオン軍の中でも異彩を放つ白兵戦特化型モビルスーツ。ギャン
劇中での扱いをフラットに見ればギャンはマ・クベの専用機として作られたモビルスーツですが、そんな単純な話で終わらないのがガンダムの楽しいところ。
という事で今回はギャンの解説をバックボーンを踏まえて紹介します。
ギャンとは
◼︎型式番号
YMS-15
◼︎所属
ジオン公国軍
◼︎開発
ツィマッド社
◼︎全高
19.9m
◼︎重量
52.7t
◼︎ジェネレーター出力
1,360kw
◼︎スラスター推力
56,200kg
◼︎装甲
超硬スチール合金
大戦末期にツィマッド社が開発した近接特化モビルスーツ。
ゲルググと同時期に開発され次期主力機の座を争ったが、近接特化型のギャンは例によって汎用性など、総合的な性能でゲルググに劣っていた為 量産化は見送られた。
試作機として作られたうちの1機がマ・クベのもとに送られている。
ギャンの武器・武装
ビーム・サーベル
接近戦に特化した高出力の試験用ビームサーベル。当時の連邦軍のものよりはるかに高出力であり、劇中ではあまり確認出来ないがかなりの威力を誇る武器だった。
ミサイルシールド
ハイド・ボンブと呼ばれる機雷とニードルミサイルを射出する攻撃兼守備武装。かなり特殊な武装だが、後のモビルスーツ開発に影響を与えており、一部のネオ・ジオン系モビルスーツに受け継がれている。
戦う前から負けていた?ゲルググとの次期主力競争
マ・クベ専用機の様に劇中で描かれるギャンだが、その開発の背景にはゲルググと競った次期主力モビルスーツを決めるためのコンペがあった。
ゲルググとギャン どちらもジオンの行く末を担う主力量産機として開発されたが、そもそもギャンはそのコンセプトから外れた特殊な装備になっている。
主な武装は高出力のビームサーベルに、シールドに内蔵されたニードルミサイル。この2つだけである。確かにギャンは白兵戦においてはズバ抜けて高性能。
ツィマッド社はこれまでも、ホバリングで高速走行を可能にしたドムなど、斬新なアプローチで開発を行ってきたが、ジムをはじめとする連邦軍のモビルスーツが既に実戦配備されていた当時のジオン軍に必要だったのは、強力な特化型ではなくオールマイティで高性能な汎用機。
ギャンは汎用性とは対極に位置するうえ、ビームライフルに対応出来なかった点も主力機開発以前の機体のように思える。
以上の事から、ゲルググVSギャンの次期主力機コンペは型式的なもので、既に採用機はゲルググに決定していたとする説がある。
ギャンの種類・後継機
ガルバルディα
Ζガンダムに「ガルバルディβ」が登場した時「βってなんだ」と誰もが思ったはず。βがあるならαもあるんです。ペズン計画の一環で計画されていたガルバルディαはゲルググとギャンの特徴を兼ね備えたモビルスーツ。
アニメなどには未だ登場していないが、漫画「ギレンの暗殺計画」にて確認出来る。
ギャン量産型
ゲーム「ギレンの野望」にて、もしゲルググではなくギャンが採用されていたら?というifストーリーで登場。
基本的には通常のギャンと変わりないが機体色がグレーになっている。その他ゲーム内ではシャアやランバラル専用ギャンも登場する。
興味がある方は遊んでみては
ギャンのパイロット
マ・クベ
「いい音色だろ?」でお馴染み戦場に舞い降りた壺好き官僚。キシリア・ザビ直属の突撃機動軍第7師団を指揮する重要なポジションにいるマ・クベだが、戦士とは程遠く保身に走る事が多い。万人に好かれるタイプのキャラクターではないが、手段を選ばぬ姑息な生き様はガンダムワールドのリアル感を感じる。
ギャンの名場面・名シーン
手段を選ばぬマ・クベ流
機動戦士ガンダム第37話「テキサスの攻防」より 条約違反の水爆を持ち出した挙句、ヨーロッパ戦線を追われたマ・クベ。敬愛するキシリアに良いところを見せる為、爆弾・機雷に不意打ち作戦とあらゆるトラップでガンダムを攻撃。仁王立ちでそれを眺めるギャンの凛々しいこと。
そして動き出すギャン
姑息な戦法でやりたい放題のマ・クベの前に現れた赤いゲルググ。シャアがガンダムと良い勝負を始めると、手柄を取られると焦ったマ・クベがついに動く。ギャンでシャアのゲルググを止めに行ったのだ。いい音色だ。
ギャンの優秀さが光る
シャア曰く「付け焼き刃」のパイロットであるマ・クベだが、ギャンを駆り意外にもガンダムと好勝負を展開。最終的に「壺の価値」を絶叫しガンダムに敗れたが、MS戦の素人ですらガンダムと戦えるギャンの性能が高く評価される事となった。